飛び地(渋々演劇論)

渋革まろんの「トマソン」活動・批評活動の記録。

2017-01-01から1年間の記事一覧

トマソン稽古日記1(20170119)

『トマソンのマツリ』構成 渋革まろん/出演 稲垣和俊・服部未来 //////////////////////日程 | 1月20日(土)・21日(日) 各日19:00~会場 | 浮ク基地(調布市上石原1-27-33 2F) 観劇費 | 1,500円(当日精算)予約申込 | tomarumaru@gmail.com 件名に「ト…

批評再生塾 × チェルフィッチュ『三月の5日間』リクリエーション討論会のための私的整理

チェルフィッチュの伝統芸能化/谷頭さん・イトウモさん・なかむらさん chelfitsch20th.net チェルフィッチュ『三月の5日間』リクリエーション討論会に備えて、みんなの論考を読んでいったことへのリアクションをまとめてみます。ただ、どうしても全員触れる…

「健康な街」にイケボが鳴る。そして、石は沈黙している。

新芸術校グループB『健康な街』展 レビュー kenkonamachi.site まろんです。 簡単なレビュー、というか思いついたことを置いてみます。 僕にとって一番、応答しやすいと感じられたのは、声と身体の関係を扱った―と僕には見えた―五十嵐さんの『人を尊敬するた…

トーキョー小劇場ではない、なにか。/演劇活性化団体uni『食べてしまいたいほど』

www.uni-theatre.com 『食べてしまいたいほど』は、練馬区を拠点にする演劇活性化団体uniが地域リサーチをもとにして演劇製作をおこなう「ちょいとそこまでプロジェクト」の「高松編」第一弾として上演された。高松は練馬区にあるまちで、最寄り駅は都営大江…

東京デスロック『再生』はなぜ「多幸感」へ行き着くのか―批評再生塾No.9より

批評再生塾で提出した課題論考と、そのヴァリアントとしての『再生』論です。論考は、『けものフレンズ』と東京デスロック『再生』を重ね合わせつつ書きました。多分、あまり語られたことのない角度で小劇場史を語ろうとしているーはずです。 school.genron.…

ブックオフと孤独と/日記20170416

気分の沈んだ時は決まってブックオフに行く。適当にぶらつくと何冊かの本が目にとまる。二冊並ぶ「ホレーシォの孤独」を棚から出して、パラパラとめくる。俳句の論評のようで、死んだ歌人の孤独をおいかけている。 脱ゴーマニズム宣言。従軍慰安婦の、強制連…

@chaghatai_khan @fuzzkeyさんへのツイッター返信/ゲッコーパレードについて

@fuzzkey @chaghatai_khan 横から失礼します。思うに、ゲッコーパレードの『ハムレット』は生活の場である民家に「戯曲が棲む」というより、「家を劇場として使った」演劇だったよね、ということなのではと。告知されたコンセプトにミスリードがあったんじゃ…

なんとなく楽しい(ワイワイ)―新しい市民劇について/ゲッコーパレード『ハムレット』

ゲッコーパレード 本拠地公演 戯曲の棲む家vol.6『ハムレット』 2017年3月31日(金) 〜4月10日(月)旧加藤家住宅(〒335-0003 埼玉県蕨市南町2-8-2) 原作:W シェイクスピア引用訳 小田島雄志 松岡和子 木下順二 出演:渡辺恒 崎田ゆかり 河原舞演出:黒田瑞仁…

『わたし達の器官なき身体』インタビュー No.2

立本夏山(1982〜)―技術は何のため? 生きること・表現すること (聞き手:渋革まろん) 立本は動く、尋常じゃなく動く。まるで自らのカラダを痛めつけ自分自身の存在を受難しようとするかのように。両親が所属する劇団の稽古場に出入りもしていたという幼…

『わたし達の器官なき身体』インタビューNo.1

田村泰二郎(1948〜)―踊られる生、死と海、存在の謎 (聞き手:渋革まろん) 舞踏家とはどんな人達だろうか。田村のおどりを見ていると、幽玄という言葉が頭に浮かぶ。存在と非在のあいだを揺らめく花のように彼のカラダはふらりと現れる。それまで支配的だ…

『わたし達の器官なき身体』インタビュー No.0

おどられかたられるわたしたちの記憶―死・生活・風土・連なり― 『わたし達の器官なき身体』はアントナン・アルトー(1896-1948)が提示した「器官なき身体」をめぐって立本夏山と田村泰二郎のオトコフタリが〈おどりかたる〉作品です。「人間に器官なき身体を…

なぜ腹が立ったのか? ドキュメンタリー演劇の二重性/村川拓也『Fools speak while wise men listen』

東京公演2017年3月4日(土)〜3月5日(日)@早稲田小劇場どらま館 公演情報https://murakawa-theater.jimdo.com 高嶋慈『Fools speak while wise men listen』劇評https://murakawa-theater.jimdo.com/劇評/ 概要 村川拓也の新作『Fools speak while wise me…

C.T.T.vol.90 村川拓也+工藤修三『フジノハナ』

日時 2012年1月29日・30日会場 アトリエ劇研 ※このレビューは、『ツァイトゲーバー』の前身にあたる『フジノハナ』について書かれたものです。 加筆修正を加えています。(2016年3月5日) 世界=時間の不気味な位相 社会的な生き物としての人間は、何らかの有…

光へ/情熱のフラミンゴ「ピンクなパッション」

2017年3月3日(金)~5日(日)東京都 小金井アートスポット シャトー2F作・総合演出:島村和秀作・振付:服部未来作・映像:川本直人作・出演:島村和秀、服部未来、川本直人、秋場清之、 岡部ナノカ、坂口天志、後藤ひかり、稲垣和俊ゲスト:MARK、Y.I.M、…

不可解な他者へ向けて/悪い芝居『らぶドロッドロ人間』

上演データ 2010年5月19日〜24日@アートコンプレックス1928 演出 山崎彬出演四宮章吾 きたまり(KIKIKIKIKIKI) 吉川莉早 仲里玲央大川原瑞穂 西岡未央 植田順平 梅田眞千子 進野大輔 山崎彬ART COMPLEX 1928 Power Push Company 芝居を観よう。芝居を観よう…

等価空間の出現/ヌトミック『Saturday Balloon』

ヌトミック『Saturday Balloon』日程:2017年2月17日(金)〜19日(日)会場BankART Studio NYK 1F kawamata hall脚本・演出:額田大志出演:宇都有里紗、鈴木健太、平吹敦史、藤井祐希、藤倉めぐみ、深澤しほ ヌトミック — English ・・・・・・・・・・・・・…

現代演劇の罠/mooncuproof#6『ワタシタチにとって十分な時間について』

●日時1/13(金)~1/15(日)●会場十色庵東京都北区神谷2-48-16 カミヤホワイトハウス B1F●脚本・演出:萩谷 至史●キャスト:奥 綾香坂本 華江篠原 沙織田口 ともみ丹澤 美緒 〈宇宙〉に重ねる 萩谷至史脚本・演出『ワタシタチにとって十分な時間について』…

京都芸術センター『式典』/演出:三浦基

上演データ 2010年3月27日 京都芸術センター 講堂演出 三浦基 式次第 開式のことば作:門川大作(京都市長)出演:石田大 祝辞 作:黒川猛(べトナムからの笑い声) 出演:山崎彬(悪い芝居)作:柿沼昭徳(烏丸ストロークロック) 出演:田中遊(正直者の会…

「戦争戯曲集」三部作(2016年版)/私たちの外側へ《私》を運ぶ

〈戦争戯曲集・三部作〉第3部『大いなる平和』(2015年) 撮影/宮内勝佐藤信氏に聞く──〈戦争戯曲集・三部作〉8時間完全上演 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイスより 劇場創造アカデミー6期生修了上演エドワード・ボンド作『戦争戯曲集』三部…

どうでもいい他者のリアリティ/ttu『会議体』

ttu vol.7『会議体』岸井戯曲を上演する#6 場外編*TPAM2017フリンジ参加作品 作 岸井 ⼤輔構成/演出 ⼭⽥ 真実出演大木 実奈(noyR)大間知 賢哉瀧腰 教寛(重力/Note) ⽇程2017年2月11日(⼟)〜15日(⽔) 会場:artmania cafe gallery yokohama(〒231-0064…

ドクトペッパズ『うしのし』

日時: 2017年2月11日(土)~12(日) 場所: 東京都北区文化芸術活動拠点ココキタ3F ドクトペッパズスタジオ 大人の「ごっこ遊び」 ドクトペッパズ『うしのし』を見た。 ココキタは元小学校であった建物を改修した文化施設。ドクトペッパズも教室のような一室を…

ドリフトするマレビトたち/玉城企画『戎緑地』観劇スケッチ

2017年2月2日(木)~5日(日)東京都 アトリエ春風舎 作・演出:玉城大祐出演:岩井由紀子、中藤奨、永山由里恵、横田僚平 1、京都⇔東京は夜行バスで3,500円 のっけから自分の話をします。 僕はもともと京都に居て、その前は北海道に居てそれから京都に来…

演劇の問題の全て

誰の言葉であっても聞きたい。 あらゆる社会的な立場を超えて、聞きたい。 演劇は集まりを生むものであって、作品(出力された結果)を生むものではない。 演劇は「集まり」のあり方を構想することに全力を注ぐ。 それが「私の現れ」を強く強く、内包するも…

仕事と自事―私的なものからなる公共圏

緊急ミーティング「政治、いや芸術の話をしよう(関東編)」の記録 | BricolaQ より。 1.自事≠趣味 仕事と自事、とは僕が考えたわけではなくて脚本・演出家の中野成樹氏が提起したフレームワード。藤原ちから氏が企画した「緊急ミーティング「政治、いや芸…

「トマソンのマツリ」赤裸々稽古場レポート

2017年1月某日。 By 稲垣和俊 1月28・29日に仙台で上演する《トマソンのマツリ》の稽古レポート。 ************** 渋革 とりあえず最初にかなり前に出したインストラクションの中からなんかしよう。(ノートを見る)どれがいいかな。 稲垣 こ…