『わたし達の器官なき身体』インタビュー No.0
おどられかたられるわたしたちの記憶
―死・生活・風土・連なり―
『わたし達の器官なき身体』はアントナン・アルトー(1896-1948)が提示した「器官なき身体」をめぐって立本夏山と田村泰二郎のオトコフタリが〈おどりかたる〉作品です。「人間に器官なき身体を作ってやるなら、人間をそのあらゆる自動性から解放して真の自由にもどしてやることになるだろう」と語られる「器官なき身体」。ある意味では謎に満ちたこの概念を「わたし達」で、だから立本・田村の二人で引き受ける、そうして観客のまなざしへ「器官なき身体」から起こる出来事を開こうとします。
ところで、ふたりは〈おどりかたること〉を〈生きること〉と切り離して考えていないように思えます。
このインタビューは、ふたりの個人史についての聞き取りを書き起こしたものです。生い立ちから、劇・踊りとの関わり、生活や結婚、それから死について。〈おどりかたり〉とは別の回路で、滞留する歴史のページをめくる手となることを期待して編まれました。3時間超のインタビューは読みやすさに配慮して編集の手を加えていますが、なるべく語られた言葉をそのまま掲載しています。すべてのインタビューに、聞き手の渋革まろんと、田村さん・立本さんが同席。2日間、3回(+α)に分けて収録されました。
インタビューNo.1 田村泰二郎